2017年4月28日

キャリー・オン、ノラ - Norah Jones


© tsubakuro


名古屋。

DayBreaks World Tour 2017 at Nagoya 4.21 Fri

ノラ・ジョーンズ。

来日のアナウンスがあったのが、去年の秋。
すっかり年も年度もマタいで、ついには住居すら変わるという(単に引越しただけですが・・・)、
首ものびのびのテイ。
働き女子風に「自分へのご褒美」と称し、
ノラを聴きに、いざ尾張名古屋へ。
(ホールで聴きたい一心で、武道館公演はスルー。)

高速バスで栄を降り、大津通りをぶらぶらしつつ南下。
宿に荷物を預け、さらにぶらり金山。
市場を横切り、国際会議場へカチにてモウデル。


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こうして都内以外でライブ聴くの、初めてじゃないかな。
白けたVIP席は皆無の、前方までウキウキ暖かい雰囲気。
おぉ、地方公演、何かとてもアットホーム。
程よいキャパで良席取れたし、やっぱ来た甲斐あったよ。

Aloysius3という、
ノラのツアーバンドDrリーダー(たぶん)
+G・Key3ピースバンドが、フロントアクト。
おっ、なんかTelevisionがStuffを演るような?
オルタナバンドのラウドなR&B、て具合で心地いい。
一気に気分は、ニューヨークの新興ジャズクラブ。
途中、袖からスタスタとノラが入ってきて、ギターでジャムったりも。

ノラ・ジョーンズ。
のっけから声にやられる。
彼女の声は、ぜんぶ持っていっちまう。
あの、スモーキーなのにキュートな歌声。
シャウトを内包したブルーズ感覚で、完全に場を支配。
生歌の吸引力。会場全体がイイ感じに酔わされる。
ピアノから始まった彼女、ギター・キーボード・アコースティックギターと、
自由に飛び回る。
バンドは、Dr・Gr・B・Key・PedalSteelの5人の男達。
演奏を聴いていくにつれ、
ホーンがいないのと、バンジョー、フィドルがいないのは、
狙いなのかもしれないとすら、思った。
最初こそ、ドラマーのオンなスタイルに、ちょっと馴染めない気持ちだったけど、
分かりやすくブラシで4ビート、とかじゃねえんだなと。
創作や造形の場でとかく、
自分も含め、多くの人が陥りがちな「過去を上手くなぞる」ことを、
ノラと彼女のバンドは、巧妙にかわしつつ、
しっかりと自分たちの表現を、体現している。
ジャズでもカントリーでもあって、ブルーズでもフォークでもあって、
どれからも自由で、あるのは良い音色、良い音楽。

実のところ、
ノラ・ジョーンズは1stから、ほとんどジャズではないんじゃない?
それをジャズと言わせちゃうのは、ブルーノート・レーベルってのと、
ハスキーな声のなせる技というか、なんというか。
彼女もそこが悩ましいんであろうことは、想像に難くない。
だからか、LittleWilliesなんて不当な扱いで、
CD叩き売り状態(おかげ?で280円でゲット)。
今回、最新の「Day Breaks」を聴いて、
実は、初めて彼女がジャズにアプローチしたように、思えた。
ニール・ヤングのカヴァー曲は(人称変えたり)ニクいし、
「Flipside」の四つ打ち感など、らしくもあるけど、
白眉の、美しいゴスペル「Carry On」を筆頭に、
ニュージャズへの接近を試みた、先鋭的なボーカル+ジャズ。
彼女はシンガーソングライターだから、
ある種、ジョニ・ミッチェルのような、腑に落ちる強さを掴んだのかな。
ちなみに脱線。
ここでのウェイン・ショーター、ヤバすぎる。
これぞ自由の境地。この世で最高の鼻歌といったら怒られるかな(笑)。
ジョー・ヘンリーのアルバムに客演したオーネット・コールマン(神がかり)に、
限りなく近いものを感じる。

閑話休題。
ライブでのピアノ弾き語り。
ラウドなロックの、高いところから、
スッと針を落として、落ち着いた曲を演奏すると、
とても、真っ直ぐ入ってくる。
バラードでソロになり、歌に沁み入る。
飽きさせない構成。
随所に入ってくるペダルスティールが、音を落ち着かせる。
良いバランス。
アンコール、チャーミングなホーボー楽団。
彼女って、イメージより全然オープンな人なんだな。
惜しみなくキャリア全体を盛り込み、1stの曲も結構取り上げる意外性。
「Day Breaks」メインを期待していた分、チョット肩透かしはあったけれど、
楽しく、リアルな、作家ノラを体感。
ボーッとした頭で帰路。


© tsubakuro


矢場町で夜飯。
ひたすら、ボーッとした頭のまま、
宿まで暫し散歩。
暖かな、名古屋の夜。


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渾身の一枚。
Day Breaks (6th/2016)
DAY BREAKS

耳に気持ちいい。
Feels Like Home (2nd/2004)
FEELS LIKE HOME