2016年3月1日

ダイアナ、黒のドレス - Diana Krall





 Diana Krall Wallflower World Tour
   at Tokyo Metropolitan Theatre  2016.2.27

 ダイアナ・クラール Live 於:東京芸術劇場 2月27日(土)


久々の池袋。
学生時代、しょっちゅう通っていた、文芸坐1のオールナイト。
(他に2とルピリエってのがあった。)
帰りの、朝焼けの気怠さだけは、
何故か、よく覚えているんだな。




3階席の最前列、微妙な位置。
ちょっと距離あるなあ・・・。
しかし、そこは音楽ホール、音の回りは上々。

メンバー全員、シックな黒を纏って、
ダイアナ・クラールも黒。裾広がりのドレス。
ホーンレス、
Piano・Guitar・Fiddle・Keys・Bass・Drums
セクステット編成。
この編成が、実に良くて、
ピアノが弦の楽器だっていう、繊細な事実が露になって、
きれいな緊張感が、ひたすら暖かい厚みを投げかけてくる。
こういうタイトなセンス、最高です。

彼女、花粉舞う東京の冬空の下で、
ちょっと、喉カラカラのようだったけど、
フォギーがスモーキーになった、という具合で、
近作のジョニのような、いい薫香。

ボクは最初、
ダイアナ・クラールは、ジャズとしてはノッペリしたスタイル
(北米では、スムースジャズとか言うやつ)という印象で、
正直積極的には、聴いてこなかったんだけど、
「The Girl in the Other Room」
というアルバムで、急速にハマった。
後々、この時期にコステロと結婚したと知って、なるほど〜、と。
何か、
優等生タイプの、つまらないヤツだと思っていたら、
実は、マニアックな50年代の映画知ってるシネフィルだった、みたいな。
ハナせるじゃん!っていう(どんなだ)。

アカデミックな音楽家、でありながら、
リスナー感度の高さが滲む、選曲・編曲・歌唱センス。
モダンジャズピアニストの、下敷きがありつつも、
シンガーソングライターという、
語り部を排除しない、バランス。
ポピュラーミュージックが、ジャズに憧れるパターンは、割と良くあるし、
良質なものも多いけど、
ジャズがポップに寄ると、どうもダサかったり。
(よくある、肝を外したビートルズカバーとか。)
次元も土俵も、まるっきり違う、
「The Girl in the Other Room」は、
ジャズのメインストリームから出た、金字塔のひとつだと思う。

そして、当夜。
トム・ウェイツ作のTemptation(Franks Wild Years !!)、
端正なんだけど、ナイトメアなアレンジ。
バンドメンバーの、静かに狂っていく様な掛け合い。
(とりわけ、Anthony WilsonのGuitarとKarriem RigginsのDrumsに、ハマる。)
ディラン作のWallflower、弾き語りの深さ。
ジャズというより、
ルーツミュージックを奏でる、バンドサウンド(Fiddleが効いている)。
さながら、シックなミンストレルショー楽団よろしく、
モノクロな佇まいと歌声。
ここではジャズスタンダードも、リアルに響いてくる。

きっちり2時間、暖かい闇を堪能。




帰りの山手通り。

チャリでライブに行くってのが、
しがない東京在住者の、ささやかな楽しみになってきたな〜。






沁みるダイアナさん、アルバム2選


Wallflower (2015)